『なぜ健康経営は社内で浸透しないのか?』
こんなことはありませんか?
さまざまな施策に取り組んでいるものの、社員が”積極的”に参加してくれない。その結果、「社員は、健康リテラシーが低いのかもしれない。」と、考えて、今度は、リテラシーセミナーを企画して、必須の受講を促していく。残念ながら、このように「首に縄をつけて水辺に連れて行く作戦。」を強制実行してみたとしても、社員は自分ゴトとしては取り組まない。
何をするかの前に、何故するのかを浸透させる?
こうした課題に直面した時に考えるべきことは、その施策の『戦略』は何かを改めて確認することです。「戦略とは、”何故&”何をするのか”を決めること。」、そして「戦術とは、”何を”&”どのように”実践するのかを決めることです。」しかしながら、残念なことに、現在、多くの企業では、「戦略なき、戦術のみの健康経営」が増えてきているように感じています。今後は、「なぜ=パーパス」での共感を得ることが、何よりも大切になってきます。なぜなら、これからの企業は、管理された人材から、自律的&共創的な人財に、会社のパートナーになってもらうことが必要になるからです。
例えば、なぜ定期健康診断を実施するのでしょうか?
「定期健康診断への投資に対して求める効果は何でしょうか?」という質問をさせていただいた場合、みなさまの企業では、どのようなお答えをいただけるのでしょうか?もしも、この問いに即答できない場合、多くの企業では、定期健康診断は、法制化された要件を満たすためだけの「法令遵守コスト」という位置づけになっているのかもしれません。つまり、「戦略なき戦術」に多くの費用を投資していることに、なってしまっている可能性があるのです。
経営者の倫理観のもとで進める健康経営戦略づくり
日本は、国民皆保険制度や労働安全衛生法を含めて、国を挙げて、国民の安全と健康を守る優れた仕組みができているにも関わらず、これらは、企業にとっては、残念ながら「規制」として受け止められています。その結果、「健康」は、「経営」にとって二項対立の関係になってしまっています。これは本当に勿体ないことです。「健康経営(R)」は、「論語と算盤」と同じく、”経営者の倫理観”のもと、「健康」と「経営」を同時実現することで、企業の持続的な発展を目指す経営です。健康経営が浸透できず、成果が上がらない時にこそ、「何故、何に取り組むのか?」という戦略を再考するチャンスとなります。まずは、わが社にとって、なぜ健康経営に取り組むのかを定義することから始めてみませんか?
★本コラムに関心のある皆様は、こちらをご覧ください→「未来を築く、健康経営」
2024年7月
理事 樋口 毅