健康経営研究会

理事コラム 濵田 千雅

健康経営研究会は2021年に健康経営の定義を「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」と深化させました。人口が減少の一途をたどる我が国において、DX化は今後も益々進み、これからの健康経営を企業戦略として捉えた場合、「人資本」という視点が何よりも大事なテーマになると考えています。
ひと…つまり、ひとの在り方が大切です。そこで、儒教思想の中核をなす重要な思想である五徳(仁・義・礼・智・信)を振り返りました。そんな時、ある本に出会い、そこには、陰陽五行論についてとてもわかりやすく書かれていました。ご存知の方も多くおられると思いますが、陰陽五行論とは古代中国の春秋戦国時代に陰陽論と五行論が結びついてできたもので日本でも国政にも使われてきました。太陽と月、喜びと悲しみのような陰陽と万物は木火土金水という5つの元素からできており、それらが影響を及ぼしながら世の中を動かしているという五行。この世の中は陰と陽のバランスを取り合って成り立っている、これを陰陽等価交換の法則(一生を通してみると+と-がバランスする)というそうです。この法則の大切なところは毎日コツコツ、マイナス、つまり代償を払っていく意識を持つこと、代償の先払いによってプラスは後からついてくる。マイナスといっても、その行動は席を譲ってあげるとか、心ばかりのSmallプレゼントをするなど大きなことでなくともよい、目の前の人にいかに喜んでもらえるかと人に尽くすことだそうです。よって、事に仕えると書く仕事も、仕事の本質は売り上げをあげることでなく、お客様に尽くすことと書かれています。私も常にこういう姿勢でありたいと思います。
健康経営研究会では元来、健康経営とは「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても 大きな成果が期待できる」との 基盤に立って、健康を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。」と定義しています。ここで、陰陽等価交換の法則の視点に立った時、利益を追求する前に、まず目の前の人である、社員の健康に投資する、つまり、代償の先払いをしている。まずは自社の社員を大切にする事業主、心配りをする管理職、そして会社を豊かにする従業員が増えることを、そして日本が元気になることを心から願います。

こぼれ話
桃太郎という昔話は陰陽五行論に基づいているらしい。桃は古代中国で邪気を払う厄除けの果実。木の兆しと書いて「桃」。陰陽五行では「木」は東方を指し、東方は物事の始まりの位置、その桃が熟して地面に落ち、どんぶらこ、と川を流れていきます。桃から生まれた桃太郎は鬼退治に(表鬼門)向かいますが、その時に申(サル)・酉(キジ)・戌(イヌ)を連れていきます。申酉戌は攻撃本能を司る西方「金」に位置しています。そしてキビ団子は彼らのパワーフードであり、白のだんごと黄色のきな粉でできています。この色にも意味があって、白は「金」つまり攻撃本能を示し、黄色は「土」相生(土相金)とだんごの白もパワーを強化する役割があります。これを持った一行は表鬼門に達します。鬼は頭に牛(丑)の角をはやし、虎(寅)柄のパンツを履いています。表鬼門の位置が丑寅だからだそうです。

参考図書  「自分」の生き方 運命を変える東洋哲理2500年の教え 小池康仁