情報が伝わりにくい時代になりました。
最近、情報を発信するけど伝わらない、とおっしゃる方が増えています。どう情報を伝えたらよいのかと悩んでおられる方も多いのではないでしょうか。 情報は発信するものというのが定説ですが、情報は発信して届けたい人に届くものではありません。
以前は、経済の需給バランスは供給側が優位に働いていたこともあり、発信した情報を拾いにいく人が多かったのですが、今の時代は需要側が優位になっていますから、発信情報が届きにくくなっています。
さらに、今の時代は複数のタイプの違うメディアが氾濫しています。 1980年代までは新聞、テレビ、雑誌などが情報伝達のメインでしたが、いまはどうでしょう、インターネットを基盤にした多面的な情報伝達ツールが乱立しています。 特にSNSは情報伝達というより情報共有のツールとなっています。
あらためて情報伝達ということの構造を考えてみようと思います。
個人にとって情報とは自分に関心のないものには反応しません。 情報発信しても、伝えたいと思っている相手に関心がなければ情報は伝わりません。 となると情報は発信しても、ほとんどの相手に届かないことになります。
では情報を届けるにはどうしたらよいか、ということですが、そのためには、2つの要件を整理する必要があります。 一つは、情報が相手の価値フィルターに引っかかるかということ、今一つは、発信するスタイルです。
一つ目は何となくわかるが、二つ目のスタイルとは何だろうと思う方が多いのではないでしょうか。
では、二つ目の発信するスタイルの説明からします。
一言でいうと、情報の発信方法は、マスメディアによる広告量の多さが広告効果に結びつく時代から、今の時代は小集団コミュニティによる情報共有型に変わってきています。
つまり媒体を介さないで情報が伝わる時代になっているということです。
以前は、新聞の折込みチラシや紙面広告、テレビコマーシャルなどが花形でしたが、これらの手法では情報伝達効果は期待できなくなってきています。 それに変わるカタチとしては、SNSやYouTubeなどのプライベートメディアが多く使われるようになっている。
しかし、ここで問題なのが、これらのプライベートメディアの使い方です。 つまり、プライベートメディアは、多くの場合プライベートコミュニティの中で影響力のある人を介して情報は拡散していきます。 さらに、なんらかのテーマに共感するコミュニティをSNS内につくることによって情報に共感する人たちを増やしていくスタイルが主流になってきています。
つまり、情報は共感によって共有されるもので、発信して伝わる時代ではなくなってきています。
では、一つ目の価値フィルターについてですが、人にはそれぞれ興味関心の範囲に違いがあります。
特に、現代のように多面的、多角的な社会構造の中では興味関心の範囲は分散していることが多いです。 自分に興味のないことには関心は示さない。 一言でいうと、関心のプライベート化です。 健康の情報も乱立していますから、自社のサービス需要を高めるために、情報の伝え方を工夫してみてはいかがでしょう。
副理事長・平野 治