「健康経営」が新たな時代を迎えています。経済産業省は「なでしこ銘柄」に続いて「健康経営銘柄」を発表し、厚生労働省においても「健康経営」が取り上げられるようになりました。働く人が安心して働ける企業を創造することが、わが国においては重要な課題であることはいうまでもありません。日本再興戦略(平成25年6月14日)において若者の「使い捨て」の対応について発表しているように、またわが国の20歳代、30歳代の死因の1位が「自殺」であることからも、未来の社会を担う人たちの心身の健康は極めて重要な国家的課題であることはいうまでもありません。そのなかで企業の果たす社会的役割は重要です。
さて、ストレスチェック制度が事業者の義務として法で定められたことは、すでにご存知かと思いますが、個人情報遵守からは、各企業の健康管理に対する基本的なスタンスが問われることになります。従業員と事業者の信頼関係が構築されていない限り、ストレスチェックは、必ずしも期待する効果が得られない可能性が高いと考えられます。本当のことを書いても仕方がない、逆に本当のことを書くと不利益を被る可能性が高い、などの問題があると、ストレスチェックは、制度を構築しても中身が伴わない、メンタルヘルスケアの一次予防としての効果が全く得られない、と言うことになりかねません。「つらい時はつらい、疲れている時は疲れている。」といえる職場環境をいかに醸成するかは、事業者の強い推進力のもとで達成できるものだろうと思います。信頼関係やコミュニケーションが確立されていない職場では、ストレスチェックは絵空事になるのだろうと思います。
健康経営研究会においても、今年度中に健康経営指標を作成してその普及啓発を図ることを計画しています。経営者と働く人が一丸となって企業の発展を支え、明るい社会と元気な人を創造することが真に求められているのだろうと思います。
人の生命は掛買いの無いものです。しかし、生きがい、働きがいのない人生は将来の夢を奪います。自分自身で生きる力を与えてくれるものを求めることも大切ですが、生きがいのある社会を創造するのも私たちの役割です。自分の親や子どもを安心して働くことができる職場、さらにかわいい孫が元気で働ける職場、この職場で働けてよかった、この時代に生きていてよかった、と多くの方が働くことによって自分自身を見出せるような職場、このような職場を働く人が力を合わせて作り上げなればなりません。自分自身の健康経営、職場の健康経営、もう一度見直してみましょう。