健康経営の係わる関係で振り返ると、日本における業務上疾病による被災者は、20年前の約半数まで減少しました。しかし定期健康診断の所見率の増加や、脳・心臓疾患に係わる労災認定件数(年間300件前後)、また仕事や職場生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は6割を超えている現状を鑑みると、労働者を取り巻く労働衛生の課題は多く存在します。
また、定期健康診断の有所見率の低減を求めるよう健康確保に向けた活動の普及・啓発を行うよう指導されております。 しかし、事業主の責任である作業関連や就業上の疾患をベースとした健康管理だけでは、コストとリスクの観点からも十分な活動が出来ないことも考えられ、効率的・効果的な活動や支援を行う上で、経営者や事業所のトップが自ら安全衛生委員会などを活用し、産業医、衛生管理者、労働衛生管理スタッフと協力することで、課題に対応している企業があります。また健康保険組合、労働組合との連携で、組織的な健康施策を実施している企業もあります。そこから私たちは多くを学ぶことができます。 社員個人が健康で元気であれば、それは会社の生産性に寄与できるとの考えがトップの方々にあるのではないでしょうか。
事後措置に関しても、特定の疾患だけを対象にした保健指導よりも、その人の生活習慣の背景(仕事や家庭、心の持ちようなど)に目をむけ、元気に働ける支援が、今の社会に求められているように感じます。 働く”ことの基本は人であり、その根幹は健康や元気さなのではないでしょうか。メタボであっても元気に働いている方は、本当は“健康”なのかもしれません。