2010年08月26日
第11回 副理事長 平野 治
最近、地方分権という言葉をよく耳にします。
平たく言えば、国はお金がないから地方は自分のことは自分でやってね、と言われているわけです。
超高齢化の波が押し寄せてきつつある状況で、国の懐も寂しくなってきたのでしょうね。
大盤振る舞いしていたあの時代は今いずこ・・・。
国にお金がないのですから、地方は地方でやってくださいね。と唐突に言われても、国からの温かな恩恵にあずかり、ぬるま湯につかった地方行政は独り立ちできるノウハウは持っていないところが多いはずである。
道路を造りたいのでお金をください。新幹線を整備したいのでお金をください。埋め立てをしたいのでお金をください。お金は国からいただくものといった構造から果たして脱皮できるのでしょうか。都道府県の長の方は、いわゆる「経営」をすることになるわけです。
予算を配分するというコスト感覚と、予算を生み出すという経営感覚では、180度の違いなのです。
健康経営も経営という単語がくっついています。健康経営の経営も、健康をコスト感覚で捉えるのではなく、生産を生み出す投資ととらえているわけです。
2025年までは高齢化の波は高くなる一方です。そして、2035年まで日本は高齢化社会がつづくと予測されています。この数値は、自然動態からくるものですから、くるいはないでしょう。
日本の高齢化社会という現実は、誰も経験したことはありません。一体どうなるのでしょう。
これまでの、日本人が恩恵を受けてきた社会保障制度は、潤沢な税収の中で成り立つ構造になっています。つまり、生産人口(働く人たち)と、高齢者人口のバランスが、いわゆる蛸壺型の状態を想定してつくられているものです。高齢化社会とは、この蛸壺が逆さまになった状態で、アンバランスな状況が生まれるわけです。歳をとっても健康投資をして、みな元気に働きましょう。
といった、蛸壺の安定感をつくり出せると、状況は変わってくるのでしょうね。
このような状況にも、健康経営の思想は生きてきます。
いつまでも元気でいられたらいいな、と誰もが思っていると思います。
その為に、健康に投資していきませんか。
そうすれば、日本に明るさが戻ってくるはずです。

特定非営利活動法人 健康経営研究会 副理事長 平野 治
2010年07月01日
第10回 理事 上田元久
健康経営の係わる関係で振り返ると、日本における業務上疾病による被災者は、20年前の約半数まで減少しました。しかし定期健康診断の所見率の増加や、脳・心臓疾患に係わる労災認定件数(年間300件前後)、また仕事や職場生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は6割を超えている現状を鑑みると、労働者を取り巻く労働衛生の課題は多く存在します。

また、定期健康診断の有所見率の低減を求めるよう健康確保に向けた活動の普及・啓発を行うよう指導されております。
しかし、事業主の責任である作業関連や就業上の疾患をベースとした健康管理だけでは、コストとリスクの観点からも十分な活動が出来ないことも考えられ、効率的・効果的な活動や支援を行う上で、経営者や事業所のトップが自ら安全衛生委員会などを活用し、産業医、衛生管理者、労働衛生管理スタッフと協力することで、課題に対応している企業があります。また健康保険組合、労働組合との連携で、組織的な健康施策を実施している企業もあります。そこから私たちは多くを学ぶことができます。
社員個人が健康で元気であれば、それは会社の生産性に寄与できるとの考えがトップの方々にあるのではないでしょうか。

事後措置に関しても、特定の疾患だけを対象にした保健指導よりも、その人の生活習慣の背景(仕事や家庭、心の持ちようなど)に目をむけ、元気に働ける支援が、今の社会に求められているように感じます。
働く”ことの基本は人であり、その根幹は健康や元気さなのではないでしょうか。メタボであっても元気に働いている方は、本当は“健康”なのかもしれません。

財団法人日本予防医学協会 常務理事 上田元久
2010年04月01日
第9回 副理事長 安倍孝治
医療保険制度の議論が活発である。肩代わり問題や保険者の一本化・一元化について、識者や学者、政治家、組織団体の方など多くの方が、論じられている。
もっともな話のように思えますが、気になるのは、聞き手側である現場の保険者責任者の課題に対する熟知度や考え、また、国が進めてきた今までの施策の妥当性やそれを遂行する行政としてのリーダーシップや実行力がどれほどのものか、把握、理解した上で論じられているのか、すこぶる疑問に思います。

先日もある総会で業界組織団体責任者の方が方針として「大きな赤字の中、理屈の通らない肩代わり問題は断固拒否」「支持してくれる国会議員が必要なので健政連に加入(議員への支援金)をして欲しい、手土産がないと議員は話も聞いてくれない」と力説していらっしゃいました。
おっしゃることに何か違和感を感じるのは私だけでしょうか?
保険者の責任者は2~3年で異動します。社会保険制度について多くの方が理解しているとは考えられません。業界組織団体本部の役割として現象を捉えてのメッセージや活動も大切だと思いますが、各保険者に、そもそも社会保障とは何なのか、皆保険制度とは、医療保険制度の全体像や歴史的背景など根本理念を理解できるよう常日頃から伝えておくことも大切だと思います。
保険者も人の意見に振り回されることなく、しっかりと学び、情報を整理し自分の頭で考え、公法人として判断することができることが、大切だと思います。

また、別のシンポジウムでは、国会議員の方が、「保険者は一本化・一元化にしていくべき」「県が中心となり地域医療計画などとリンクさせ進めていくべき」と声高におっしゃっていました。

理屈では、それが美しいと思います。また、そうなっていかざるをえないのではと思います。
しかし、県のどんな人が責任者として組織をマネジメントをするのでしょうか?

一例ですが県単位で健康づくりを推進しようと「保険者協議会」が、行政指導で各県に4年前設置されました。国保、協会けんぽ、被用者保険、医師会、看護協会などが参加し、まさに、県が中心になって推進する事業です。
しかし、どれほどの県が取り組み、どれほどの成果画が上がっているのでしょうか?
4年間、兵庫県で委員をさせていただき、国の施策や支援の仕方、県のリーダーシップのあり方など、一本化・一元化の際に現実的な対応、組織マネジメントについて、多くの課題があることを経験しています。

以上のようなことから、いつもの持論ですが、やはり「保険者マネジメントのプロを育てる」専門大学院の設置が必要だと思います。

健康や医療、福祉について携わる責任者は、たまたまの人事異動で職に就くというのではなく、「保険者の仕事は、加入者を幸せにすること」にあると使命感を持った保険者マネジメントのプロの育成が急務であると思います。

特定非営利活動法人 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年02月15日
第8回 理事長 岡田邦夫
私たちは自分自身の健康を維持向上させるために何に投資すればよいのでしょうか。
現在ではなく、将来の健康という未知数的なかつ漠然としたものに投資する価値があるのでしょうか。熱がある、頭が痛いなどの症状があれば、安静にする、薬をのむ、といった行動をとることになります。つまり、時間と薬を購入(投資)することになるのです。
これは現在の健康の悪化を予防し、将来の健康状態をよりよいものにするための投資でもあります。つまりlow risk high returnの投資を潜在的に考えているのでしょう。
個人個人が自分の健康状況を把握して、何に投資すればさらに良好な健康が得られるのかを的確に判断することは難しいといえますが、健康診断や保健指導、健康相談、専門書や社会的資源などを活用することで効果的な健康づくりに正鵠を射る可能性が高くなります。健康投資は、可能性という確実性のないものに対する投資なのです。
しかし、一方では投資しなければ期待する効果が得られないことも事実でしょう。

さて、企業における健康づくりについても同じことがいえます。
職場の生産性や創造力はそこで働いている人たちが産み出されるものであって、職場というところからは生産されることはありません。もちろん快適な職場にすることで働いている人たちのパワーをアップすることは可能です。一人ひとりの能力を最大限に引き出すことが管理監督者の管理能力であり、また、経営トップの重要な経営管理の一つでもあります。
企業環境の厳しさが増大しつつある現代社会において、企業が存続するための条件として、経営者も含めて働く人の健康がますます重要になってきます。
社会環境を乗り切るためのメンタルタフネスは、単にストレスに強いだけでは得られません。心身一如はすなわち、生活習慣病対策も必要であることを示しています。
すばらしい環境や良好な人間関係が働く人を育ててくれます。
「健康」は、いまや個人を対象とした臨床医学的な領域から、社会心理学・社会経済学的な領域に拡大し続けています。疾病になれば進歩した医学の恩恵を受けることになりますが、現代社会は疾病にならないような仕組みを求めているのです。
生命に経済的価値をつけることはできませんが、健康には経済的価値を考えざるを得ない状況になっているのです。
多種多様な視点から現代人の健康を考えなければならないと時代の流れが要求しているようです。経営者は、そこで働く人の生命と健康を守る社会的な役割を担っているといっても言い過ぎではないでしょう。

特定非営利活動法人 健康経営研究会 理事長 岡田邦夫
2010年01月01日
第7回 理事 萩原 聡
寅年にあたり
あけましておめでとうございます。
皆様には清々しい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

今年は寅年です。語源由来辞典によれば、寅とは「引(のばしひく)」、「伸(のばす)」と同じ系統の言葉であり、「漢書 律暦志」では草木が伸び始める状態と解釈されています。
この由来のように本研究会も今年ますます発展できるようなお一層のご支援をお願い申し上げます。

寅年といえば阪神タイガースファンの私としては一言語らざるをえません。
実は昨年7月の東京ドームの巨人戦でVを確信するできごとがありました。
それは9回に鳥谷―林―葛城の3連続ホームランが飛び出し見事な逆転勝利をおさめたことです。
前回日本一になった1985年4月には、伝説のバース―掛布―岡田による槙原投手からの甲子園巨人戦バックスクリーン3連発がありました。ついで2003年5月には吉見投手から放った浜中―片岡―アリアスの3連発が18年ぶりに横浜球場でみられています。この年は星野監督の下、見事優勝を飾りました。ということで、タイガースの3連発と優勝は必要十分条件かとも思われましたが、2年後の2005年にもリーグを制覇した時には3連発がなく、仮説は十分条件に変更となりました。

実は3連発と優勝の関係は一軍だけにあてはまるものではありません。
2006年にはウエスタンリーグ(2軍)でVを飾り、イースタンリーグで優勝したロッテとのファーム日本一決定戦に進出しました。山形での試合では、成瀬投手から喜田―桜井―藤原が初回に3連発を放ち、見事栄冠を勝ち取りました。これはまだまだ十分条件として有効であると確信していましたが、昨年度で3連発⇒優勝仮説はもろくも崩れ去ってしまいました。
とはいえ元々楽天的なタイガースファンです。もう一つのVデータ、星野―岡田と続いた就任1年目4位⇒2年目優勝が、同じく就任1年目に4位だった真弓監督のもと、今回も叶うことを信じています。

三菱電機株式会社 伊丹製作所 統括産業医 萩原 聡
2009年12月01日
第6回 理事 山田長伸
メンタルヘルス不調者をめぐる職場でのトラブル事例が、増加の一途をたどっています。

一方では、メンタルヘルス不調者の数自体が増えているのですから、それに比例して職場でのトラブル事例が増えても、何ら不思議ではないということかもしれません。

しかし、日頃人事労務担当者からトラブル事例に関する相談にあずかっている弁護士の立場からしますと、職場の上司なり、関係者が多少の法律知識を持ち合わせていたなら、容易に防げたのではないかと思われるトラブル事例も、その中には数多く見受けられます。

例えば、明らかに過重労働(長時間労働等)によってメンタルヘルス不調に陥った従業員に対し、私傷病休職に関する社内規程(就業規則)を適用し、同規程の定める休職期間が満了しても職場復帰が見込めないとの理由で、解雇(休職期間満了に伴う解雇)を申し渡したため、当該従業員との間で解雇をめぐってトラブルに発展したといった事例がその典型例として挙げられます。そして、そのような事例に関しては、労働基準法第19条第1項本文の存在を理解しておく必要があります。すなわち、労働基準法の規定によれば、「使用者は、労働者が業務上・・・・疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間・・・・は、解雇してはならない。」とされ、いわゆる業務上疾病により療養中の者に対する解雇制限が法律上定められているのです。その結果、上記のような事例が生じた場合には、そもそもメンタルヘルス不調が業務上疾病に該るのか、それとも私病に該るのかが、ポイントになるわけです(過重労働によることが明らかな場合には、そもそも私傷病休職の規定を適用すること自体が誤りということです)。

無用のトラブル事例の発生を防ぐためにも、常日頃より法律の規定に少し目を向けてもらえればと願っています。

山田長伸法律事務所 弁護士 山田長伸
2009年10月31日
第5回 理事 鍵本伸明
リーマンショックを契機に始まった経済危機からメンタルヘルス悪化が憂慮され、今年3月には厚生労働省より、「当面のメンタルヘルス対策の具体的推進について」と題して取り組むべき事項について都道府県労働局長宛に通達している。特にその具体策は「労働者の心の健康保持増進のための指針」に基づき、個々の事業所の実態に即した取り組みを着実に実施させることを基本的な方針として明記してある。

しかし現場の実態はどうであろうか?
少なくとも私がメンタルヘルスで関わっている事業所で新たな取り組みは行われてはいない。むしろ今まで行われていたメンタルヘルスの研修会が延期や廃止になったり、嘱託の相談日数を減らすなど予算が削減されている。

にもかかわらず、私が関わっている企業内では明らかにメンタルヘルス不調者が減少してきている。
当初は理由がわからなかったが最近、景気の悪化で労働環境が様変わりしていることに気がついた。

リーマンショック後、メンタルヘルス対策を意図したわけではないだろうが、トップダウンで残業規制が強力に行われ、管理職以外、大方の社員は残業時間が減少している。業種にもよるだろうが、企業によっては一時帰休の措置をとらざるを得ないところもあり、仕事がないために残業をしてはいけない状態になっているのである。

景気の悪化で経営者の悩みは深いと思うが、従業員の方は残業がないことでメンタルヘルスは向上している。

2006年の景気がまだ良いときに「長時間労働者に対する医師の面接指導」が法的に事業者に義務づけられた。面接指導の場合は医師が時間管理を指示しても業務量自体が減らないので本人が楽になっても他の同僚に仕事が振られて、本人も同僚も納得がいかず医師も対応に限界を感じていた。しかし今回の残業規制はトップダウンで全社員に対する規制なので誰も罪悪感を抱かず堂々と早く帰れるのである。

産業メンタルヘルスは企業のトップダウンが重要と言われているが、現場で保健スタッフが努力してもメンタルヘルス対策に無力感を感じることもあった。しかし今回の経済危機で組織をあげての取り組みであれば、単に時間管理だけであっても、メンタルヘルスにすばらしい成果があがることをあらためて認識した。

伸明会 ナンバかぎもとメンタルクリニック 鍵本伸明
2009年09月21日
第4回 理事 久保とし子
「人財について互いに考える」~産業医の視点から。
かつて産業医は有害業務の作業管理や作業環境管理を行い、職業病に対する健康診断の受診を促し、企業の診療所で診察を主たる業務としていることが多かったように思います。勿論今でもこれらの仕事の重要性には変わりがないのですが、サービス業の急速な進展による産業構造の変化、工場の海外移転、大不況に伴うリストラなどの社会情勢の変遷に伴い、産業医の業務も大きく変わってきました。現場の有害物質を一日中調べていた私も、今では産業医業務の多くをメンタルヘルスに係る面談や企業のリスクマネジメントとしての取り組みに費やしています。数年前まではメンタルと過重労働の関連がクローズアップされていましたが、リーマンショック後、残業は減少したにも拘らず、従来のメンタル関連疾患とはその趣が異なるメンタルヘルス不調も増加している傾向にあります。

活動の拠点を大阪に置き、専業嘱託産業医・労働衛生コンサルタントとして仕事を行っている私は、大学医学部の非常勤講師として、医学生の実習などの教育にも携わり、産業医の仕事の面白さと難しさを伝えています。大半は医師=臨床医のイメージを抱いている学生には勿論、一般の方にも独立系産業医とも言われる専業嘱託産業医は日本ではまだ数も少なく認知度も低いのですが、その業務範囲は広く、又、契約企業の多くは常勤産業医や常勤産業医療職がいるような予算や人・産業保健の基盤に恵まれた企業でないこともしばしばです。しかし、そんな企業が抱えている問題事例は大企業同様であり、時にはそれ以上に対応に苦慮する場合もあります。産業医としての本来の業務を十分に行えないジレンマを抱えつつも、少しでも産業保健がその企業に根付き、企業の資本である社員の皆様の健康と安全・安心を守る仕事をしたいと願っています。ただ、最近は組織の風土・基盤形成に全く着手せず、表面的なリスクマネジメントのみの視点で過重労働面談とメンタルヘルス対策だけを依頼されることもあり、本質的なものが忘れられているように感じることもあります。企業の財産である人を人財ととらえ、経営者や産業医は共に真摯に考え、互いに協力する必要があります。企業に経営理念があるように産業保健にも理念があることを忘れずにいたいものです。

人類の半数が女性で、働く女性の数は年々増加傾向にあるにも拘らずまだまだ就労女性を取り巻く環境は依然として厳しい現実があります。中断しがちな傾向にあるキャリア形成に悩み、また科学的とは言いがたい諺や風習・文化に囚われて子育てと仕事の両立に悩む女性が多い中、快適で、働きやすい、心身共に健康で、安心して子育てができる職場環境と社会環境を育むことは今後も課題であり続けるといえるでしょう。一緒に語り、共に考えて下さる方、悩んでいる方、行動したい方…皆様の参加をお待ちしております。

久保労働衛生コンサルタント事務所 久保とし子
2009年09月07日
第3回 副理事長 平野 治

毎日のように気持が暗くなるニュースが流れてきます。
「経済不況が一段と・・・」、「自殺者が半年で17000人を超えた・・・」、「環境のさらなる悪化・・・」、「個人消費の冷え込み・・・」等々、気持ちが前向きになるようなニュースはないのでしょうか。確かに未曾有の社会状況なのでしょうね。

私はマーケティング組み立て屋ですが、マーケティングの世界も1997年を境に大きく様変わりしてきました。1997年以前は、市場内の競争戦略が中心で、シェア(自社占拠率)をどのように勝ち取るか、がテーマでした。
今でも勝ち組、負け組などと旧態依然の考え方から抜けきれず、相手(競合)に勝つことを目的とした考えでマネジメントしている企業は多いです。

少しばかり言い過ぎかもしれませんが、私は競争社会が閉塞感を生む、と考えています。
過去を振り返ってみると、日本は高度成長期を経てバブルと呼ばれる時代を過ぎ、モノに対する欲求が行くところまで行ったような気がします。
モノの欲求では満たされない状況にあるのに、「これでもか」とばかりに、市場にモノが送り込まれるわけですから、例えるなら、満腹状態でフルコースを目にするのと同じ状況なわけです。つまり、この状況をつくりだしているのが、市場内の競争戦略なのです。
その結果、「モノが売れない」となるわけです。
モノは売れないのではなくて、必要量を超えているわけですから、買いたくないわけです。

日本の個人金融資産は、1400兆円と言われています。
日本の1年間の国家予算は、庶民には中身を教えてくれない特別会計(約200兆円)とやらを含めると約280兆円ですが、個人金融資産は、日本の国家予算を遙かに上回るわけです。つまり、日本国民はものすごく、お金持ちなわけです。
数字だけみれば、モノに満たされ、お金も十分にある、となるわけです。
それなのに、何故か不安感と閉塞感が充満しています。

日本人の持ち味だった「まあまあの社会」、今風に言えば「OR」の社会、西洋のようなYES・NOのどちらかに決める了見の狭い文化ではなく、相手の気持ちを考え、仲間と一緒に楽しみを分かち合い、気遣う、「まあまあ」の社会が、日本の持ち味だったのです。
「まあまあ」の余裕が気持ちの豊かさ生むはずです。
健康経営は、気持ちの余裕をつくっていくものだと私は考えています。

特定非営利活動法人 健康経営研究会 副理事長 平野 治
2009年08月01日
第2回 副理事長 安倍孝治
健保マネジメント部会について
約1400ある健保組合の92%が赤字です。
その要因は高齢者医療制度の支援金・納付金や特定健診・特定保健指導による経費負担増、また毎年増え続ける高額医療の増加などが挙げられます。加えて経済状況の悪化が保険料収入を落ち込ませ経営の苦しさに拍車をかけています。
健保組合の中には保険料率の引き上げや組合を解散せざるを得ない状況に追い込まれているところもあります。
当に今、健保組合の経営について、マネジメントの必要性が望まれています。
とはいえ、保険業務や運営について知識や方法は各保険者の先輩から後輩に引き継がれるか、健康保険組合連合会が主催する研修や業者の方が主催するセミナーで学ぶ以外にありません。
また、わからない事例などがあった場合は行政や健保連本部に尋ね解決できるものもありますが、保健事業の進め方や組織マネジメント、健保組合の経営については学ぶにも場もなく、文献もないのが現状です。
常務理事など責任者の多くの方は、ある日、突然人事異動で着任し、経営手腕を発揮することなく、2から3年で異動・退職されます。そのため、今までは、保険者本来の業務を安定的にこなすため、事務長が中心になり、法制度でやらねばならない保険業務を中心に運営してきました。ところが、これからは、昨今の、保険者の財政状況から経営センスや医療制度改革からの保健事業に軸足を置いた業務改善など組織マネジメントも必要となってきています。

そんな中、今秋から健保マネジメント部会を3本の柱で開催させていただくことにしました。
1.保健事業の事例研究
2.医療・保健の基礎知識研修
3.健保組合マネジメントの考え方・手法についての研修

ポイントは、業務<見えないものを見るセンス(感性)、運営<経営、保険<保健、いままで<これから、です。

情報交流を大切にし、私たち現経営者が先輩から教えていただき、そして自身が健保で経験し考えたことなどを「次の世代にバトンを渡すことが大切」と考え、その役割を果たそうとする人とそれを受け継ごうとする志の会にしたいと思っています。
多くの方の参加を楽しみにしています。

特定非営利活動法人 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2009年06月10日
第1回 理事長 岡田邦夫

働く人を取り巻く環境は、以前にも増して厳しくなってきている。本年6月に発表された労災補償状況においては「過労死」等の請求ならびに支給決定は減少傾向が認められたが、「精神障害」の支給決定件数は1件増加で過去最高となっている。企業におけるメンタルヘルスケアがますます重要になってくる。本年3月には「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援のための手引き」が改訂され、4月には「心理的負荷による精神障害に係る業務上外の判断指針」の一部改正がなされた。いわゆるパワーハラスメントが強度Ⅲとして認められた。いまや、ゆとりある企業は存在しないのであろうか。厳しい経済環境の下、企業が生き残るためには、人件費など経費を節約して利益を生み出さなければならないが、一方では、働く人の健康問題が、労災認定され、また民事訴訟となり多額の賠償金の支払いが命じられることになる。そしてそこには事業者、上司と被災した労働者の間に気まずい思いがうごめくことになる。自社の製品すら認めることができない従業員が生み出されることにもなりかねない。健康上の問題で離職したとしても、企業の誠意ある対応があれば、勤めていた企業に対する思いは変わらない、と思う。「いい会社に勤めることができた」と退職時に言いたいものだ。

WHOのレポートには「労働は重要であり、また自尊心および秩序観念形成の上で大きな心理的役割を演じると指摘されている。労働は人間の自己認知を形づくる大きな力なのである。そして、それは生存に活力を与え、日・週・月・年の周期的パターンを形成するのである。」として雇用の社会意義、即ちCSRについて言及している。

健康経営は、経営者、管理監督者、労働者、健康保険組合、さらには産業保健スタッフがそれぞれの力を出し合ってお互いの健康を気遣い、そしてそれぞれの利益を生み出す考え方である。前途多難な道のりであっても、英知が結集すれば切り開けるものだと確信している。

特定非営利活動法人 健康経営研究会 理事長 岡田邦夫