理事雑感

各理事の活動の状況や健康経営についての考えを披露。

201118JAN

職場巡視の着目ポイント

2011年01月18日(火) 理事 久保とし子

大阪府医師会主催の産業医研修会の講師の依頼が来ました。私に与えられたテーマは「職場巡視の着目ポイント」。今回の研修会は新規に認定産業医を取得しようという方、地域の企業の嘱託産業医をされていらっしゃる方、大企業の専属産業医を何年もされていらっしゃる方など、受講者は皆、医師ではありますが、バックグランドは様々です。「せっかく寒い中を受講しに来られるのだから、何か1時間の講演の中で持って帰って頂きたい。」との思いを胸に準備をしてきました。そんな中、興味深い「工場マンガ」と出合いました。溶接工から漫画家へ転身した野村宗弘さんが描いている「とろける鉄工所」です。溶接工の主人公と会社の仲間らの日常生活や鉄工所の仕事をコミカルに、そしてリアルに描いています。

最近は産業医の仕事もメンタルの対応が増えていますが、事務系職場のみの産業医の仕事だとこういった有害業務のある事業所を経験することが出来ません。認定産業医資格を有していても全く有害業務は見たことがない、管理をしたことがないという認定産業医も増加しているのです。そこで、今回は溶接や有機溶剤などの有害業務のある職場と事務系職場の職場巡視をテーマにしました。私のささやかな楽しみの一つ、NHKの朝の連ドラ「てっぱん」ではヒロインの父親が鉄工所を営み、時折溶接作業や研磨作業風景が出てきます。仕事柄、この作業はこの保護具で良い?これは何溶接?などとドラマの内容以外の所に目がいってしまいますが、職人気質というか、技術にかけて妥協をしない父親の仕事ぶりが何とも言えないよい味を出しているのも、製造業や有害業務にスポットを当てたかった理由です。

大企業を中心に海外への工場移転が続く中、日本人の物作りに対する熱意や技術はずっと大切に守って頂きたいと願っています。勿論、安全で健康で働ける職場であることが前提です。「安全な作業、確実な作業、熟練した作業。安全な作業は、作業の入り口である。わたくしたちは、まずしっかりとこの入り口を通りましょう。」この言葉は豊田英二氏が昭和32年にトヨタ自動車の代表安全管理者に就任した際「トヨタ安全衛生基本理念」として示した檄です。安全こそが全ての作業で最も大切なことで、安全→確実→熟練の順でなければならないのです。