

2010年09月06日
夏の思い出
10代後半から20代の頃、夏は、よくヒッチハイクをした。
地方に向かう車に乗せてもらうため深夜の国道で、手を上げる。
どこに行くかで国道を選び、海辺の町や高原に向かう。
長距離トラックに乗ることが多く目的地に着くまで、たわいもない世間話からちょっと刺激的な話まで、中には運転席後ろのベッドで寝かせてくれる親切な人もいた。
明け方、薄暗い海岸べり、人の気配もないところに、降ろされる。

行く先が違う分岐点。
「もう、この人と一生会うこともないだろう」と、遠ざかるテールランプをぼうっとした頭で見送る。少し、寂しい。
実は、ヒッチハイクには目的がある。18歳の春、初めてのときに決めたこと。
「人って何なんだろう?」「生きていくって何なんだろう?」
今から思えば、文学青年でもないのに変なことをと思うのだが、それを知りたくて少ないお金を握り締めて出かけていった。

昼間、目的地まで山道を歩き、野辺に出れば田や畑で働く人をじっと見ていたり、変な子であったと思う。
やがて、だんだん日が落ち、山が黒ずむ夕暮れ時、なんともいえない寂しさが胸に広がる。
夕食もどこで寝るかも決まっていない、この寂寥感がたまらないほど好きだった。

野良仕事を終え、家に帰る人が声をかけてくれる。

「兄ちゃん、どこ行くの?」

夕食は、旬のイカや魚、ごろごろ野菜の煮物とナスの味噌汁、食後は梨や葡萄と食べきれないほど奥さんが出してくれる。
家を出た息子の部屋に案内され、家族の思いを知る。
おじいちゃんは、お酒を飲みながら干物をすすめ、昔話を始める。
家族はまた始まったと迷惑顔だが、私は楽しくてしょうがない。
おじいちゃんは、ずっと生きてきたんだ。何を考え、どんな風に生きてきたんだろうか。
必ずする質問がある。「おじいちゃん、若いときやりたいことあった?」
「もちろんや」日に焼けた皴の顔で、勢いよく出会ったおじいちゃんは皆そう答えた。
で、「それをやったの?」と私。「いや、せんかった。・・・・でけんかった」。
「やったほうが良かった、やらんほうが良かった、どっちがよかった?」
「そりゃ、やったほうが良かった」必ず、出会ったおじいちゃんは皆そう答えた。

夏の思い出は、今も心のよりどころ。
たくさんのおじいちゃんからいただいた「やったほうが良かった」。
肝に銘じて、生きていこう!

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年09月01日
始めからあるのではなく、皆で力をあわせて創るんだ
最近、頭の中に繰り返されて出てくる言葉である。
私のお腹の奥底にずっとあり、私を突き動かす原動力の言葉のような気がしている。
20年近く前、「風の又三郎」を読もうと買ったときに、出会ったように思う。

始めからあるのではなく、皆で力をあわせて創るんだ。

宮沢賢治の小説「ポラーノの広場」でのファゼーロ少年の9月1日の宣言である。
小説の概略は、野原のどこかに、ポラーノという、そこに行けば皆が集まり、オーケストラでもお酒でも何でもあり、歌を歌ったり、踊ったり、自然と誰でも楽しくなり、笑い声が堪えないという昔からの言い伝えの広場がある。そんな幸せな場所があるのなら、皆でそこで楽しもうということになった。いろんなうわさを信じ野原の中を、昼夜、探し回ったりした。また、見つけたと思ったら、まやかしの集まりで、だまされかけトラブルに巻き込まれてしまったり。大変な苦労をする。

しかし、ついに、気が付くのである。
「そうだ、ぼくらはみんなで一生けん命ポラーノの広場をさがしたんだ。けれどもやっとのことでそれを探すとそれは、選挙につかう酒盛りだった。けれどもむかしのほんとうのポラーノの広場はまだあるような気がしてぼくは仕方ない。」「そうだ、あんな卑怯な、みっともないわざとじぶんをごまかすようなそんなポラーノの広場でなく、そこへ夜行って歌えば、また
そこで風を吸えばもう元気がついてあしたの仕事中からだいっぱい勢いがよくて面白いようなそういうポラーノの広場をぼくらはみんなでこさえよう」「ぼくはきっとできるとおもう。なぜならぼくらがいまそれをかんがえているのだから。」

ロマンチックすぎるようにも思うかもしれないが、私の大好きなフレーズである。
自分達で創るということをせず、始めからあるものに乗っかろうとする人が多いように思う。
自分達で創ることが不安なのだろうか、創ることができない、やらない理由が並ぶ。
そのほうが、楽かもしれないが、果たして責任者として、経営者としてそれでいいのだろうか?
理想に向かって、一人ひとりではできないことを集まって、仲間としてやってみる。
自分達で考え、自分達に必要なものを、自分達の手で創りあげる。
未知のものに、皆が全力で知恵を出し合い、創りあげる。

保険者に、是非、訴えたい。
あなたがせずして、誰が加入者の幸せのためにやってくれるというのか!

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年08月16日
読売新聞「論点」
8月7日(土)の読売新聞朝刊「論点」に、記事が掲載されました。
見出しは、健康づくりと医療費抑制・健保組合「経営者」が必要、です。
夢で自論の大学院での保険者経営学部、健保組合マネジメント学科設立の必要性について述べています。文字数や表現の規制が多々ありましたが、伝のない私に投稿を勧めていただいた記者の方のご尽力で掲載が決まりました。
この記者の方は、「保険者マネジメント研究会」に毎回のように参加され、各先生方の話や時代の流れからタイムリーで面白い!と判断されたようです。

驚いたのは、「論点」への注目度でした。
早朝、私が未だ新聞を見る前に、ある雑誌編集者の方から携帯電話に、「凄いですね!論点は、我々編集者や記者のほとんどの人が読み、時代をウォッチしている記事であり、そこに掲載されるのはすごいことですよ。おめでとうございます。お会いして、次に何をしようとしているかうかがいたい」といわれたことを皮切りに、健保仲間の方や大学院の教授の方達、研究者、行政の方、会社経営者、友人、家の近所の方まで多くの方から、励みのメッセージをいただいたことでした。
古い友人からは、「ずっと、ぶれずに首尾一貫してるよね」に続き、はては「写真の写り、顔がいいね」とまでの、こそばゆいコメントまでいただきました。

「論点」をご覧いただいた経営者の方や加入者の方に健保組合が大切なパートナーだと気づいていただけると嬉しいですね。
そして、「保険者経営学部」「健保組合マネジメント学科」の早い設立を期待したいですね。

世論よ起これ!

掲載していただいた読売新聞社様に感謝です!
自身は、これからも感じること、できることを愚直に、行動で具現化していきたく思っています。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年08月11日
第5回 健保マネジメント部会
8月6日(金)は、暑い中、東京からブリヂストン健康保険組合の国井常務理事様にお越しいただき「健康保険組合マネジメントにおける事業主との連携」をテーマに事例発表をいただきました。

ブリヂストン健保組合様は、被保険者39,800人、被扶養者41,500人、計81,300人、多様な職種の加入者が全国95の事業所におられますが、健保組合職員数は国井様を含め13人の少数で業務されているのに、まず驚かされました。次に驚かされましたのが、保険料率7.1%で付加給付を平成9年にすべて廃止されていることでした。そして、最大の驚きは、他健保と比べて高い被扶養者の特定健診受診率50.1%でした。それも、集合契約Aのみの活用で。

なぜ、こんなに高い結果になったのか?

職制、労働組合から被保険者への働きかけや個人への督促状発信をするのは、当健保組合に限らずどこの健保組合もされていますが、「事業所別、部署別に配偶者の受信率を職場の管理者が把握し、督促をされている」とうかがったのは、ブリヂストン様が初めてでした。
聞けばなるほど、そのとおり。受診率は上がるだろうと想像できる。
まさにコロンブスの卵である。

「事業主との連携」言葉は同じだが、各健保組合方法が違う。
労政部門出身の国井常務理事だからこそできた工夫のように思う。

また、事業主との健診費用負担を見直し年間約7000万円の健保経費圧縮、保健指導スキルアップのための事業所保健師研修会を健保主催で実施するなど少数精鋭で効果を上げる組織マネジメントにも取り組んでおられる間口の広さには敬服しました。

国井常務理事様とは保険者機能を推進する会 保健事業部会で2年間コンビを組み全国保健事業発表大会を開催するなど新しい方向での部会運営をしてきました。穏やかでいつも笑みを絶やさず、静かに粛々とやるべきことをきっちりとされている国井さんの姿勢は、自身が持ちえていないものだけに大いに学ばせていただいたものでした。

国井さんの健保組合事例発表を初めてうかがいましたが、加入者や事業主のために誠意を持って事業をしようとされているお人柄が、マネジメントの一つ一つに熱意とともに現れているように思いました。

やはり、責任者には、熱意が大切ですね!

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年08月09日
お医者様と学ぼう会(仮称)
安倍ダイアリーの2010.4.26.「患者と医療の協働」と2010.5.7.「地域との連携への模索」をご覧いただいている方から、次はどうしていくのかと、あたたかい催促(?)をいただくことがあった。忘れているわけではなく、県医師会事務局に何度か訪ね、行政にも根回し、二転三転の日程調整の末、ついに、8月4日(水)1回目の交流が兵庫県医師会館で実現しました。

参加者は、兵庫県医師会副会長の谷澤先生、後藤課長、兵庫県健康福祉部の原参事と私。
医師会と保険者、組織が後ろにつけば、組織対組織、対立することが多々あると思う。
しかし、個人としての思いはどうか。その地域で暮らす患者(加入者)を、健康にする、幸せにするために、日夜心を砕き取り組んでいる仲間、同志である。
医療者と保険者は目的が同じ、パートナーである。

保険者は、これまで一次予防に取り組み「病気にならいよう自己管理ができる」よう加入者を教育啓発してきた。しかし、人は生活習慣のみならず種々の状況から病気になっていく。これからからは、超高齢社会に向かい、今まで以上に、かかりつけ医を持つ必要性など、「病気になったときに自己管理できる」よう加入者を啓発しておく必要がある 。

そこに、お医者様の知恵をいただこうというのが、今回の「お医者様と学ぼう」である。
視点は二つ
・医療者が患者に望むことを加入者に伝える
・加入者が医療者に望むことを医療者に伝える

硬い言い方をすれば、
患者(加入者)を首座に置き、医療提供側と支払う側、皆が幸せになる手立を探るのである。

谷澤先生は凄かった!
保険者協議会でのご発言で、現場目線ではっきりと意見を言われる見識のある先生だと尊敬していたのですが、明石市を基盤に長年いろんな仕組みを構築されてこられた実績をうかがい、とりわけ「お互いが専門性を発揮し、その人のためにベストな知恵を出し合う」という言葉に、お医者様としての使命感と溢れる愛情を感じました。
学ぶ場をつくり、保険者が地域に参加するヒントをいただきたいと思う。

また、ご提供いただいたリーフレットがすばらしかった!

県医師会作成の「子供の救急ガイドライン こんな時どうすればよいの?」は、救急受診の目安を。また神戸市医師会作成の「知っておきたい家庭での救急」は、かかりつけ医と家庭を結ぶ急病対策マニュアルとして、どちらも加入者啓発に利用させていただきたい宝の山の情報ツールでした。

先々、お医者様と協働で加入者啓発用のリーフレットを作成したいと思います。

後藤課長、原参事ありがとうございました。
わけのわかりにくい、思いが先行の私の話に、お忙しい中、何度もお付き合いいただき、大感謝です!引き続きよろしくお願いいたします。

次は、保険者の仲間を増やすこと。
多くの興味のある方の参加連絡をお待ちしたいと思います。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年08月06日
第3回 保険者マネジメント研究会
8月3日(火)うだるような暑い中、マスコミの方を含め30人を越える方の参加をいただきました。

テーマは「日本の医療制度が抱える課題について:健保組合はどうかかわるか?」

1回目の辻元厚労省事務次官、2回目の同省吉田保健課長も健保組合に「地域医療」の設計、「地域連携」に加わることを期待されていました。しかしながら、「地域医療」の設計、「地域連携」と言われても現実的にはイメージがわかないと思います。

そもそも、「地域医療」以前に日本の医療制度が抱えている課題は何なのか?

今回は、病院経営をされ、また、病院経営のコンサルタントもされ医療提供側の事情をよ
く知る㈱メディヴァ代表取締役 大石佳能子様に日本の医療制度の実情と抱える課題についてお話いただき、各健保組合はどう関わるか?出来ること、すべきことを皆で討議することが目的でした。

2つの方向が出ました。
Ⅰ.予防活動をする
- 患者にならないように、生活習慣病対策に加えて、がん検診を性別と年齢に応じて実施する
- 患者をどう減らすかを健診結果・レセプト分析で、個人に介入し疾病管理をする。
Ⅱ.良い医療を受けられるよう誘導する
- 病気になった人の相談・支援をする
- 介護についての情報、相談・支援する
- 保険者として地域医療に参加し、企業で培った経験、知恵を発揮する
じっくり読んでみると深いメッセージであることに気づきます。
まず、動いてみよう!汗をかこう!

「患者視点での医療変革」を目指して、「医療サービスのあるべき姿」を追求しようと起業され、「より良い医療サービスを受けたい」という患者(加入者)の思いと「より良い医療を提供したい」という医療者の思いを実現することを使命に行動されている大石さん。
小柄で華奢な女性ですが、理論、実践力の凄さに加えて、発せられる空気は武道の達人同
様の「普通さ」がありました。
また、包容力のある人柄が魅力でした。

今回は、ブリヂストン健康保険組合 国井常務理事のご好意で八重洲の同組合の会場をお借りし開催することができました。ありがとうございました。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年07月21日
歴史小説の面白さ
安倍って、どんな人?と私を知る方に聞いてみてください。
いろんな方がいろんなコメントをされると思います。中には、相反するものもあるかもしれません。しかし、すべて私であることにかわりありません。
評する人の性格によって、また、場や状況によって印象は違うのですから、当然です。

一面を見て、想像し組み立て、人物を論じようとしてもそれは無理、的を射たものにはなりません。なぜなら、「人間は輝ける多面体」といわれるほど、いろんな面を持っているからです。

歴史小説を読み続ける面白さも、そのあたりにあります。
戦国時代の三人、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は、果たしてどんな人物だったのだろうか?
司馬遼太郎、堺屋太一、遠藤周作、吉川英治、野上弥生子、隆慶一郎、津本陽、山岡宗八、南條範夫、安部龍太郎、多くの作家が、自身の見方でそれぞれの人物とその周辺の物語を書いています。

まず、一人目の小説家で読んでみる。
その人物をいろいろ想像してみるが、紙の上での文字は平面で人物は動かない。
二人目の小説家と読み進んでいくうちに同じ主人公が紙面から浮きでて、立ち上がる。
そうすると自分なりの人物像ができてくる。
さらに三人目、四人目ともなると人物は立体的になり動き出し、喋りだす。
ついには、あたかも自分の隣にいて息遣いが聞こえるようになり、対峙し見つめあったり。
そうなると、まるで、その時代に一緒に生きていたような錯覚に陥り、考えまでもがわかるような気持ちになってしまう。

「わし達は、わし達なりに一生懸命生き、人や国のために尽くしたぞ!お主もしっかりやらんか!」という三人の叱声が、梅雨明けの雷鳴とともに聞こえたような・・・・。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年07月12日
できることはしない
責任者として健康経営を進めていくうえで、心がけてきた一つに「できることはしない」という考え方がある。

できることはしない。

少しわかりにくいかもしれないが、言い方を変えると「できないことをする」である。
座っていて流れてくる仕事は規則どおりのこと、習慣でできたり、分わからなければ人に尋ねたり調べればわかる。いうならば、見える仕事であり責任者自身でなくても誰でもできる。

ところが、できる仕事を後生大事にメインの仕事と考えていないだろうか?

責任者は自分しか見えないことを見、自分しかできないことをする。
できないことにチャレンジし、できるようになってくる頃には、他の人にも少しずつ見えるようになってくる。他の人でもできるように分かりやすく整理されてくる。
そして、自身ができるようになったものはバトンを渡し育つように見守る。

できることはしない。
すると自身が何をすれば良いか、することがなくなり不安ではないかという人がいる。

しかし、不思議と次のものが見え始める。
見えるとは感じること。
ひとつところにとどまらず、風のごとく、いろんな場に出かけ、いろんな人に会い、感じ、自分のお腹の声と会話してみる、

できることはしない。
すべての根元は、感じることができる心の素直さ、豊かさにあると思う。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年06月08日
ビジネスマンと黒帯
黒帯。

流派によって呼び方はいろいろあると思うが、私が若い頃から嗜んでいる拳法では、黒帯は普門士という。

黒帯をいただくまでに、白帯から、黄、赤、緑、茶、紫帯へと色が変っていく。
節目で検定を受け、人によって色が変る月年数は違うが、色が変るごとに組型の数と技の難度が増していく。
黒帯をいただくには、受け攻めあわせて優に50を超える組型を身に着け、都度、立ち合いもしなければならない。集中して、技の練磨の習熟のため安居(行)にも参禅しなければならない。
それで、ようやく、普門士となる。普通の門人、一人前になったという意味だと考えると
「武道をやっていた」と人に言うには、黒帯をいただいてはじめて言えることかもしれない。

さて、一般社会の話に置き換えてみる。
小学校、中学校、高校、大学と多くの知識を学び、数々の試験によって段階を進み、成人式で大人と認知される。さらに、社会人ともなれば、普通の大人としての行動、判断が求められる。そういう意味からすると社会人になれば黒帯といえるかもしれない。

では、黒帯の上は何か?

武道では、さらに多くの組型、何度の高い技の熟達具合や精進の様子を見た師から声をかけられると昇段検定が受けられ二段、三段、四段と昇段する。
しっかり稽古をしている人であれば、この一段の違いが、手を合わせてみると驚くほどあることがわかる。ところが、帯の色は同じ黒なのである。

社会人では、どうか?それは、昇進での肩書きかもしれないが、同じ黒帯であることに違いはない。
相手はどれほどのビジネスマンか、折衝ごとになった際、相手は武道でいう高段の凄い遣い手かもしれない。

上には上がいる。
社会人としてのプロがいる。場数を踏んだ熟達したビジネスのプロがいる。
それでも、折衝し成果を収めなければならない。

そう考えると何が必要か、おのずと見えてくるものがある。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年06月02日
第2回 保険者マネジメント研究会
5月31日(月)世界禁煙デー。

忙しい中、厚生労働省 吉田保険課長にお越しいただくことができました。

制度を発信する側と運営する側、共に一生懸命仕事をしているのだが、相互に伝わらない情報によるもどかしさ、そこから発生する不信・不安を少しでも取り除きたい。

発信する側にすれば、役に立つことをしようと思ったことが、運営側にとって、同じするならこのポイントを押さえて、と言いたいこともあるだろう。
また、運営側から聞こえてくる制度への評価や状況について、発信側からすれば、なぜ、そのような理解や活動方法になるのだろうと言いたいこともあるだろう。

そういった状況で、一番迷惑をするのは、一体誰か?
それは、加入者である。
青臭い言い方ですが、お互い立場は違っても目的は同じ。

仕事をするなら無駄なことはしたくないし、喜んでもらえるようなことをしたいと思っているのは、お互い言うまでもないこと。
そういうことからすると今回は、保険者マネジメント研究会の「第1回 がらがらぽん交流会」ということになったのかもしれない。

「皆さんとの議論の素材」*あくまでも個人の見解。と簡単なレジメを用意され、明快かつ軽妙にトレンドから中長期的な制度課題について、丁寧にお話いただきました。
参加者の保険者や健康支援事業者、マスコミの方からも積極的な発言があり、誠実に答えようと整理しながら核心をつかもうと質問をする吉田さんとの意見交流は16時から気が付けば21時を大きく過ぎていました。
名刺交換を全員とされ「ご意見メールをください。返事が遅くなるかもしれませんが、ご容赦ください。必ず返信します」、とエリート官僚らしからぬオープンマインドのキャラクターが、多くのファンをつくったのではと思う。事実、2回目をお願いしようとの声が、誰からともなくあった。

また、参加保険者からのお礼メールの「これからの時代のために、私たちができることを、もっと把握していきたいです」に、私自身の言葉が返ってきたのが次への励みにもなった。

われわれ仲間の中に、時折、相手組織を攻撃するような発言をする方がおられるように思う。攻撃するのは簡単。
しかし、もし逆にご自身が相手組織に身をおいていたとして、攻撃材料になっていることを解決することができるのか?
お互いの所属する組織には、いろんな仕事ぶりの人がいる。
そう考えれば、一生懸命仕事をしている相手には、おのずと支援しようという気持ち、敬意を払うのは、働くもの
同志として当然である。

さあ、協力できることは協力しよう!
そして、現場が見えるようにして、いい仕事をしていただこう。

今回もコスモイニシアグループ健保組合 山根常務理事のご好意で、新橋の同健保組合会場をお借りし開催することができました。いつも感謝です。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年06月01日
日本で初めて「産業看護職へのマネジメント研修会」
ついに、この日が実現しました。

5月29日(土)「産業看護におけるマネジメント」が、(財)兵庫県看護協会で開講され、休みの日にもかかわらず現役の看護師、保健師さんが男性も交え20代前半から50代後半まで、いろんな職場から25人が参加されました。

「スキルアップのための研修会ではありません。産業看護職を採用側の経営者からの視点で健康課題の発見と解決のための手法を一方的な講義でなく、参加者とディスカッションしながら伝えたいと思う」「本日のゴールは、やる気になって帰る!」ということで、9時30分から16時30分過ぎまで、参加者の方の積極的な発言で楽しい研修会になったように思う。

というのも、今、週初めの東京へ向かう車中で原稿を書いているのだが、お礼メールから「途中で眠くなるかと思ったが、全くそんな気配もなかった」「明日から職場で、さっそく試そうと思う」「新しい視点が新鮮だった」「やる気になった」「参加型で楽しかった」「たくさんの心強い産業保健関係者のネットワークを持つ機会ができました」などからうかがえ、実はほっとしているところである。

ディスカッションの中で私が勉強させていただいたこともいくつかありました。
思った以上に一人職場が多いこと。思った以上に、他の会社と情報交流がないこと。
今回は総論であったが、次回は、看護協会にさらに時間枠をいただき各事業の取り組みポイントをディスカッションできればより満足度がますように思えた。

同窓会の提案をし、終わってからは懇親会。
保険者の集まりなら居酒屋で乾杯というコースだが、夕暮れ時の神戸の街、女性の会ならではの好感度カフェでの座談会となった。

最終日の9月18日(土)に再び登壇し意見交流をするのだが、全6回の講義を受けパワーアップをした彼女達に会うのを今からとても楽しみにしている。

ほんとに素直な、先々楽しみな人たちとの出会いでした。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年05月31日
第4回 健保組合マネジメント部会
5月28日(金)は、「はつらつ」をキーワードに30年前から健保組合、会社、労働組合が、協力し合って健康づくりに取り組んでこられたレンゴー健保組合様に事例発表をいただきました。

レンゴー健保組合様は、私が着任した12年前にいろんな場面で見聞きしベンチマークの対象でした。その後も思いのこもった保健事業は歴代の常務理事から現常務理事の下條様に受けつがれ「健康が大切だ」という風土が全国30数箇所の事業所にいきわたり、特定健診・特定保健指導の受診率は95%、「母体企業と連携」し素晴らしい成果を挙げていらっしゃいました。

ポイントは「広報が重要」という視点から広報誌をはじめ、一つひとつの事業に健保職員のやる気と知恵が、工夫、表現されていることでした。
そこには、さりげなく謙虚に発表されていましたが、事業内容の文章表現や発信されるアイデアの根源に、長い間、職員として携わってこられた野焼課長の常の研鑽とご自身の生き様があるように思いました。

「健康ってなんだろう。啓発するのに、そんなに眉根を寄せて考えなくてもいいのでは、もっと楽しいものでいいんじゃないか?」と一石を投じられた思いの伝わってくる余韻の残る勉強会でした。

いつもどおり、保険者の方のみならず健康支援事業者の方も含め約30人の方が参加され、懇親会まで本音で意見交流をされていました。
レンゴー様の事業取り組みにも健康支援事業者様との上手なコラボレーションがありました。
「保険者と健康支援事業者様とのパートナー関係」も事業成功のためのポイントですね!

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年05月24日
事務は時務である
健康保険組合連合会の2008年度決算書によると全国に約1500ある健保組合の68.2%が赤字である。その要因は高齢者医療制度の支援金や退職者拠出金や特定健診・特定保健指導にかかる経費などの負担増、また毎年増え続ける高額医療の増加である。加えて経済状況の悪化が企業業績に影響を与え、保険料収入を落ち込ませ健保組合の経営の苦しさに拍車をかけている。そういう中、健保組合の多くは、保険料率の引き上げや組合解散をせざるを得ない状況にある。

まさに、今、健保組合の経営についてマネジメントの必要性が望まれているところである。

ところが、保険者の経営責任者(常務理事など)は、ある日突然人事異動で着任し、多くの方は2から3年で異動し退職するため、マネジメントについて考え、工夫し、経営手腕を発揮することなく、腰掛的に、あるいは組織の上に乗っかり仕事をせざるを得ないのが現状である。そのため、いままでは医療保険者本来の法制度でやらねばならない保険給付業務を安定的にこなすことを主に、事務長が中心になり運営してきている。しかし、これからは、昨今の医療制度改革からの流れや保険者の財政状況から保健事業に軸足を置いた業務改善や経営センスなど組織マネジメントも必要となってきている。

言うならば運営より経営が大切になってきている。
経営という視点で「じむ」ということを考えてみた。

事務はあまりリスクもなく、さしたる能力も必要ないと思っている方もいるようである。
たしかに、仕事を滞りなくこなしていくには、「事務」のほうは、ある程度の基礎さえあれば、毎年繰り返される経験で機械的にやっておけばすむように思う。
健保組合の仕事を母体企業と比べて、そのように評価する方もいる。

しかし、一字替えて「時務」となると意味が違ってくると思う。
「時」の文字が示すとおり、その時、その場、その問題に対して、いかになすべきかという、まさに瞬間、活きている問題となる。

したがって、根本にその人の教養、信念、胆識、器量がなければ瞬時の判断ができない。
安定した地位に甘んじ、己を磨かずに、起こった問題の処理を仕事と思っている人も多い。
身の回りに起こる現象を嘆いたり、相手に憤慨しているだけで現実の問題が解決していかないようでは、先も示せず「時務」をしているとはいえない。

そう考えてみると「時務」をするためには、さらなる学びと努力を日々行い、先を予測し、問題が起こらないようにする課題発見能力が重要である。

また今、直面している課題の中で、何が最も重要な課題であるかを識別し、現実的に処理をしてゆく能力が必要とされる事にも気づかされる。

健保組合では、事務長が要である。

多くの時務長の存在を期待したい。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年05月17日
「産業看護におけるマネジメント」研修会
2009年12月30日のダイアリー「ピンクリボンフェスティバルでの学生ボランティア」で、保健師さん教育のあり方について、看護協会に働きかけたことを述べました。

「念ずれば通ず」

兵庫県看護協会様が「産業看護におけるマネジメント」
https://www.hna.or.jp/2010/04/no37.html を5月から9月まで、6回開催されることになりました。嬉しいのは「マネジメント」という言葉を使っていただけること。

第1回は5月29日(土) 「産業看護には何が求められているか」をテーマに、講師をさせていただくことになりました。

保健専門性やスキルを磨くための講義ではなく、経営者の視点から、健康課題の発見とその解決手法について、保健師さんの課題とされている企業内コミュニケーションやポピュレーションアプローチのありかたをディスカッションやグループワークを通じて学んでいただこうと思っています。

当日は、9時30分から16時30分の長い一日ですが、いただいた機会を自身も皆さんにも悔いのないよう、一生懸命させていただこうと思います。

保健師さんを対象に、日本で初めて開催される「産業看護におけるマネジメント」研修会。
ご尽力いただいた兵庫県看護協会 大森会長、大澤部長、神田裕子さんに大感謝です!

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年05月10日
田舎暮らし
田舎暮らし。憧れている人も多いのではないだろうか?
連休、友人夫妻に誘われ古民家で過ごした。
移築した建物は古いが、台所や手洗いは設備が整っている。
とはいえ、周りに人家はなく夜は暗闇。
山間部なので日が落ちると肌寒く、朝は毛布と布団に包まっても寒さで目が覚めるほど。
午前中は、豆腐作りと蕎麦うち体験。豆から挽いて作った豆腐は絶品でした。

日中することもないので、道端の石碑の上で寝そべる。
あったまった石が背中をほぐし、爽やかな風が、鼻をくすぐる。
瞬間、顔の上をツバメが掠めて飛んでいく。追いかけていくと軒に巣をつくっている。
仲睦まじさに、目を細める。

青い空とうすい雲。
田や畑を眺めながら農道をあてもなく歩く。
おたまじゃくしが、田の水溜りに湧いている。
田植えを控えた溝を流れる勢いのよい水流の中に、生き物がいないかじっと見てみる。
その流れの行く先にぶつかった川べりをのんびりと下流のほうまで歩いてみる。枯れた草木に足を取られながら水際を覗くと小魚が流れに逆らうように、元気よく泳いでいる。
遠くに耕す人の姿、近寄ると外からの人が珍しいと話しかけられる。
日焼けした顔は、どこかであったような懐かしさを感じさせる。

蛙の声と鳥の声。
子供の頃に見た景色がずっと続く。退屈することはない。

歩き疲れて畦道に寝転がる。
土はこんなに、あったかかったのか。
自然の寝床は、土の匂い、草の匂い、蓬の匂いで癒してくれる。
のどかさのなかで、体が緩み眠気を誘う。

また、寝入ってしまった。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年05月07日
地域との連携への模索
連休の合間、兵庫県健康福祉部を訪ねました。
動機は、時間に追われて、ずっとすっきりせず気持ちが悪かったジャンルを見極めたかったこと。
キーワードは、4疾病5事業、医療提供体制、医療圏、医療計画、医療・介護・福祉、医療連携、在宅医療、かかりつけ医、患者の視点。

国は2006年の医療法改正で医療計画制度を抜本的に見直し、県が中心になって地域の医療機関の設備、対応できる疾患・治療内容や実績・結果などの医療機能情報を収集・発信することにした。そして各医療機関がそれぞれ有する医療機能を活かして連携することによって地域の中で医療が完結できるようにしたのである。

保険者の大事な仕事は加入者を幸せにすることである。
保険者が加入者のエージェントというならば、加入者が住みなれた地域で安心して暮らせるよう、病状に応じた適切な医療が受けられるように、地域行政を訪ね保険者としての役割を模索し、保険者としての機能(サービス)を発揮する必要があると考え、アポイントをとった。

生まれてから死ぬまでには、病院や診療所、在宅医療、介護サービスなどさまざまな医療機関や施設の切れ目のない連携のお世話になるのだが、果たして地域の医療提供体制はどうなっているのだろうか?

話しているうちに、行政と保険者が協働して取り組むべき具体的なことが見えてきた。
また、行政(県、市町)、医師会、病院、かかりつけ医、調剤薬局、加入者(県民)、保険者それぞれが発揮する役割と課題も見えてきた。

解決には、とてつもないエネルギーと作業がいりそうだ。
保険者協議会、地域職域連絡協議会など公的な会の活用はもちろんのこと、県や医師会、加入者、保険者など各組織を超えた「小さな勉強会」が頻繁に行われることが最も近い道であるように思えた。

感じて、動く、するとわかる。
見極めまではできませんでしたが、次のアクションへの方向が、また一つ見えてきました。

お忙しい中、快くお会いいただいた原参事、西坂主査、ありがとうございました。大変勉強になりました。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月30日
胆識
堅い話で恐縮です。

胆識という言葉があるそうだ。
それは、見識に裏付けられた現実の処理能力のこと。
といってもピンとこない。

解説するとこうである。

まずは、知識が大切である。しかし、知識は断片的な記憶であり、言ってみれば単なる脳の働きであり、それだけでは行動する力とまではいたらない。

とはいえ、知識も多くのことを学び、ある程度の蓄積ができてくれば、その人の中に使命感や志が芽生えてくる。それが知識と結びつけば見識ができてくる。

見識を持つようになれば、知識だけからくる判断ではなく、加えて道徳的、心理的な判断もできるようになる。

したがって、見識は知識と違って、人から教えられたり、書物を読んだりして身につくものではない。自分自身の頭で考え、悩み、場数を踏む。
そういった数々の修養、自己鍛錬以外で身につけることは不可能といわれている。

そして、その上が胆識。

いかに見識をもっていても、現実にことを進めていくとなると、利害からの対立や矛盾がついてまわる。それらを説得し、あるいは抑え込み、自信と責任を持って、ことを実践していかなければならない決断力が必要となる。

つまり、見識に不退転の決断力が伴い、実行していくことを胆識という。
世論や風評に惑わされることなく、知識と見識を持って判断し、胆識で持って実践していく。
「であることとすること」、に似ている。

まぎれもなく、健康経営を推進する責任者に不可欠なのは、胆識をもつことであると思う。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月26日
患者と医療の協働
保険者マネジメントセミナー余韻での熱い気持ちでさっそく動いてみた。

われわれ保険者が実施する加入者への健康教育・啓発の目的は、自分のからだは自分で判断や管理ができるように種々の健康支援をすることにある。同じように病気になったり、患者となった際に、自分の体について自分で判断や管理ができるように種々の情報提供で支援をすることをしているだろうか?

また、診療報酬改定が医療費増減に大きく影響することから、関係者も神経を使った決断をする。しかし、医療費を支払う保険加入者は、あまり興味も持っておらず、改定でどこが変わったのか、明細書の発行が義務化されても領収書を見ても項目や金額までを見て項目や金額について理解ができ、疑問点を持つ人などほとんどおらず、たいていは見ずにすぐゴミ箱にという事になっていると思う。お医者様もお金をかけて明細書など発行する設備投資をしたり手間をかけてもこれでは結果的に経費の無駄、ひいては医療費増になるということで発行には協力したくないという気になるのは当然であると思う。

支払う側と医療提供側、どちらも幸せになり、医療費増を押さえる手立てはないのか?

そんな問題意識の中、調べるとコムルという組織を知った。
さっそく訪ね、患者と医療者が協働してより良い医療をつくり上げようと活動されているコムルの山口さんとお会いし、私が最近問題意識を持ち出し活動しようと思っていたことを既に20年前からなさっていることに驚き、多岐にわたっての活動の多さ、そのエネルギーに尊敬の気持ちを持ちました。

患者と医療の協働の推進。
そこに保険者のこれからの仕事があると思う。
ハッキリと次のアクションへの方向性に確信を持ちました。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月23日
辻哲夫さんと保険者マネジメント研究会
4月20日(火)第1回保険者マネジメント研究会を開催しました。
「保険者として何をしなければならないか?国の政策を推進してきた方にお越しいただき、明快な方向付けを試みたいと思います。そして、皆様と一緒に活動をしていこうと思います」という、講師名も一部の方にしかお知らせしなかった呼びかけにもかかわらず、国際医療福祉大学大学院の公開講座「保険者マネジメントセミナー」卒業生を中心に50名を超える方が参加されました。

この会の特徴は、「新しい何かを見るために学び、そして見えたら活動する」ということにあります。
とはいえ、保険者だけでは力が足りません。そのために、保険者以外に健康支援事業者様などいろんな職種、背景の方に集まっていただきました。特に、マスコミの方には応援をしていただきたく「取材はダメ、しっかりとした世の中を動かしていく記事を書くために勉強に来てください。」と知人であることに甘え、大変失礼なお願いをし、新聞社、業界誌の方々が快く会費まで払ってきていただくことになりました。若い記者の方ばかりでしたので今後の期待と来ていただいたことに、とても感謝しています。

さて、講師は元厚生労働事務次官 現東京大学高齢社会総合研究機構教授の辻哲夫さんに来ていただくことができました。

先日、近況をご報告し「これから、志のある方と一緒に行動することをしていきたい」と私の今後の抱負と活動の方向性をお話している際に、辻様の表情がみるみる変わり、息つく間もなくいろんなお話が飛び出してきました。そこで、「もし、ほんの少人数でも志のある熱心な方が集まる場があればお話しいただけますか」とお願いしましたところ「そんな熱心な人が集まっているのであれば、たとえ少人数でも行っても、いいよ。話してみよう」ほとんど外部でのお話を断られているにも関わらず、ご快諾をいただきました。

15時15分から18時まで次の会合があるにもかかわらず人口問題から高齢者介護の現状と課題、生活習慣病から医療費の増加、高齢者施策の現状と課題、在宅医療の連携と地域コミュニティなど、今までのおさらいと新たな視点に気づくお話をいただきました。

その後の質疑応答で辻さんから発せられた「保険者は加入者の幸せのために仕事をするのだ」「経営者に健保組合の仕事をプレゼンスすることが大事」「保健師を活用すること、そのために教育する」「医師会とのコミュニケーションをしっかり」「保険者協議会など地域に入って一緒に活動する」など多くのメッセージは、私にとっても参加された方にとっても、自身のこれからのモチベーションの宝になったと思います。

また、辻さんは懇親会にも会合が終わった後に駆けつけてくださり、上着を脱いでの熱い言葉のやり取りや名刺交換を通じて、一人ひとりの心の中に「人を幸せにするのだ」「健康が大切だという風土・文化を創って行くのだ」「病気になった時、どうしたら良い医療を受けられるのか?エージェントとしての役割を」と、保険者としての使命感を鼓舞する数々の言葉をいただきました。

まさに、ある熱心なO健保組合の方からは、「今、何をなすべきか?」を考えるに当たり、今回のセミナーで得た、”ビジョン”と”想い”を実行に移すべく、もっともっと、勉強して行きますのでよろしくお願い致します。本当に、生まれ変わるチャンスを頂きました。とお礼のメールをいただきました。

終了後、お送りする道すがら「ワールド健保さんは、社会貢献しているね。いいことをしてくれているね」と思わぬお褒めの言葉をいただきました。

上質の素材のレインコートをはおり、傘を差し雨の中を消えていく辻様の後ろ姿は、まるで武士か侍のようなどっしりとした風格がありました。

尊敬する辻様。ありがとうございました。

きびすを返し、私も21時発の新幹線に乗るべく酔客で込む駅中をバスケット選手のようにステップを効かせて走った。

同伴の新入職員は帰りの車中、早朝からの日帰り出張で疲れているにもかかわらず、今感じることやこれからのことを大阪駅に着くまで、ずっと、きらきらした眼で私を見つめ、話していた。
「君は、いちばん前で一生懸命聞いていたね」と声をかけられていた彼。
彼にも今日の出会いは間違いなく一生の宝物になったのだろう。

また、日にちの変わった帰宅であったが、妻の笑顔に迎えられた。
今日も良く生きた一日であった。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月19日
安倍晋三さん
4月18日(金)国際医療福祉大学大学院公開講座 乃木坂スクールに元内閣総理大臣 安倍晋三さんが講師としてこられた。

テーマは社会保障における政治の役割、同大学院の黒岩祐治教授(元フジテレビアナウンサー)と超高齢社会における社会保障の在り方はいかなるものか?国民の安心・安全を守るために政治に求められるものは何か?を、立ったままで超満員の熱気に満ちたホールで19時から20時30分までノンストップの会話が繰り広げられた。

信頼関係に裏打ちされた二人の仲の良さがうかがえるつっこんだやり取りと難しい内容、きわどい質問にも、さわやかに答える安倍さんの丁寧な話しぶりは、育ちの良さ、誠実な人柄を感じさせる。
あっという間に時間が過ぎ、質問が始まる。

私は、夢である大学院での保険者マネジメント学部設立の必要性を伝えようと時間が気が気でない。ついに黒岩さんと目が合ったところで挙手。
21時発の新幹線で大阪に帰るため途中退席する非礼を詫び「もし、各保険者がしっかりとマネジメントしていたら、今のような医療制度改革をしなくても良かったのでは、保険者の責任者はある日突然異動で着任する、医療職のように志を持ち職業を選んだわけでも専門知識を学んだプロでもない、保険者マネジメントのプロが必要だ、マネジメントにはスタンダードがある、学生も保険者という就職先・マーケットがあることも知らない、是非、大学院設立の後押しを」とお願いした。
会場から拍手があがったのには驚いた。

もう一つの驚きは、派遣についての質問を受けられた際に「安倍さんのワールドでは4000人も正社員化をしていただき感謝している」と数年前の話題を持ち出され、わざわざ花を持たせていただいたこと。3メートルほどの距離なので、気配りと気持ちが伝わってくる。

もう20時30分をまわった。
退出しようとしたところ、安倍さんも次の予定があるらしく話を切り上げたので、一緒に出口に向かうことになった。今夜の会に参加を勧めていただいた開原大学院長にお礼を述べ去ろうとした際に、名刺交換をすることになった。
「一緒に降りましょう」と誘われ、SPに囲まれたエレベーター内で、またお話ができた。
隣の安倍さんは、私より少し小柄だが顔が小さく、真っ黒な艶のある髪が肌の白さを際立たせていた。たぶん、私を年下に思っていらっしゃるような、そんないたわりの空気があった。

一国の総理大臣は、私達が計り知れないほど多くの量と質の決断をし、その責を負わなければならない。今その職にはないが、「美しい国、日本」への思いは消えずに持ち続けられているような気がした。

労に感謝し、雨の中を走った。
青山1丁目駅20時39分発、東京駅に着いた時、残り時間は5分。通路と階段を疾走し弁当も買い飛び乗る。元気なからだに感謝。
朝5時から始まり深夜1時帰宅の長い一日。
妻も笑顔で迎えてくれた。
今日もいい日だった。よく生きた。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月13日
都をどり

桜色に染まっている京都。
「ヨーイーヤァサー」の掛け声と共に、春の到来を華やかに告げる都をどりは、長唄、お囃子に芸舞妓の衣装、一糸乱れぬ動き、全八景の格調の高さ、それらのこだわりは、まさに「何もかもが一流」であった。

総をどりの華麗な衣装と舞いも感嘆のため息がでるほどであったが、特に圧巻だったのは、第七景 一力亭雪宵。

円熟の一人舞いと舞台奥の障子を開けた庭景色がなんとも言えず美しく心に残っている。
夕暮れの灰がかった青色、はらはらと桜のように舞う雪、その景色を背景にしての一流の舞いは、息を呑むほどの美しさであった。

約1時間、四季の移り変わりを舞台であらわし、伝統に裏づけされた確かな技芸が生み出す華麗な舞は、客席を魅了する。一瞬、静まり返り、やがて、感嘆のため息が漏れる。

終了後、京料理・おばんざいと京都の銘酒で、こちらも桜色に染まる。
夕暮れ時の雑踏の中、ふわふわと浮いた身体を着物姿の優しい手に導かれ、人をかわしながら歩いていると、どこからともなく桜の花びらが生暖かく頬を撫ぜていく。

舞台の華やかな動きとは裏腹に、乱れ足ではあるけれど、ゆったりとした豊かな心が訪れる。

添付写真は観覧前の芸妓さんによるお点前

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月12日
であることとすること
国際医療福祉大学大学院での学位授与式での開原成允大学院長の祝辞の一節である。
であることとすることは別もの、大きな違い、隔たりがある。
何事においても実感である。
確かに、言う方は多くいるが、実行する人は少ない。

しかし、不思議だと思う。
なぜ、実行しないのか。
実行の過程こそ面白く、人との出会いなど自身を成長させ、次を見えさせてくれるものはない。
仕事を覚え知識や経験が身についてくれば、自分なりの考えができ、理想が見えてくる。
私の言う「思い」である。
自身の思いのチェックと同じ思いの仲間を増やすためメッセージを出すのは、実現可能とするための風土づくり。

評価と功を求める方は、「私は考える人、やるのは君達」と言わんばかりに、机上で案を練り続け、現場の混乱疲弊も関知せず決裁者に案を進言し、手駒のように人や組織をいじったりする。
ある集まりでの話で、地道に現場で実績を築き上げてきた組織が崩壊の憂き目にあっている。

であることとすること。
することに汗をかくことほど美しく、尊いものはないと思う。
「天のことは見ているほかはない、しかし、地のことは手を下せばできる。」
せんないことを言い続けるより、疑問を持つ一人ひとりが力を合わせ、少しでも前へ進んで、次の世代にバトンを渡すようにしていく責任が、大人としての私達にはある。

私達ができないことは、もう誰にもできないと思え!
そんな危機感を上回る気概で、見えたことを愚直にやり続ける。
きっと天は見ている。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月05日
まずは、知識を
4月は異動の時期である。

ある日突然、健保組合の常務理事や労務部門の責任者になってしまう。
さっそく、「方針を出してください」といわれることになったりもする。
確かに方針・戦略は組織責任者が示さなければならない。

しかし、急には無理である。
あせることはない、自身が母体企業で経験してきたマネジメント力やコミュニケーション能力を今まで同様発揮すればよいと思う。

とはいえ、ここからが大事。
健保組合や労務部門に必要な知識を持つことを忘れてはならない。
なぜなら、ビジネスと健保・労務での価値判断が違うからである。
今までの仕事が評価されて現職につくのだが、今までの知識だけでは判断が間違ってしまう。このことは、この職に就き現場を経験した方でないとわからないと思う。
もちろん、理事長や経営者などビジネスではしっかりした舵取りをしておられる上席の方でも例外ではない。

健康経営を進めていくには、新たな知識が必要である。
適用や給付など法に則った業務は基準が示されているので、ある程度それに沿えばよいが、健康や医療、福祉に対する考え方は、基本的な知識を持たず自身の価値観で判断すると十人十色、大変な間違いを起こしてしまうことになってしまう。

まずは、ベンチマーク。外から自健保を棚卸すること。
取り入れ実行するかどうかは母体企業の環境、社風、自組織の人容と実力を考えることは言うまでもない。
次に、多くのセミナーに参加し知識を蓄積する。そして、仲間を多く知るため、業界に慣れるために必ず懇親会に参加し名刺交換をする。

まずは、1年続けてみてください。
それが本物だったら、きっと、何かが芽生えてきます。
どこかで、お会いできる日を楽しみにしています。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年04月01日
世論を自分の頭で考えてみる
理事雑感をご覧ください

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年03月18日
ワークライフバランス
スキーを初めて5年、今年も蔵王、安比高原とすでに2回すべりに行った。
蔵王に行く前日、どうも体がだるく早めに仕事を切り上げ病院に行ったところ、熱が38.4度、インフルエンザの検査を受け異常はなかったもののスキーを始めたきっかけが、三度の食事よりもスキーが好きな妻にせがまれてのこと、それゆえに行かないわけには行かない。

「明日からスキーに行きます」と医師に話すと、ぽかんと口を開け「聞かなかったことにします」とのこと。きつめの薬で点滴を約1時間受け、翌朝、飛行機で仙台空港へ、バスで約1時間の蔵王に到着。その日から、38.8度と3日間38度台をいったりきたりで、4日目にやっと平熱になった。その間、一度も温泉にも入れず、ずっと部屋で横になっていた。
おかげで体重が2kgも減り、1ヶ月経つが、いまだに戻らない。

しかし、妻はすでに春スキーを申し込んだらしい。
元インカレ選手の滑走に、ついていくのは、もう大変!

昨年は、志賀高原の横手山山頂(2305M)から凍った雪面もなんとかこなし、合格点をもらうことができた。とはいえ、ゲレンデでは飛ぶように転び、民家には激突、リフトからはスローモーション映像のように落下、崖から転落で九死に一生、人に迷惑をかけるなど武勇伝には事欠かない。
朝の9時過ぎからリフトの止まる16時頃まで、合宿のようにゲレンデにいる。

週2回往復する東京出張、土・日は武道と呼吸法の稽古、そしてスキー。
はやりのワークライフバランス、聞こえはいいが、私のは少し過酷過ぎるような気がしている。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年03月12日
セカンドライフ
(財)日本レクリエーション協会様からインタビューを受け、情報誌
『自適工房』Vol.12に「自適論」として掲載されました。(添付)
いつの間にか、そういう話題の年齢になっていることに少し戸惑いながら、日常の暮らしぶりや趣味、プライベートな事を3時間ほど質問されるがままに取材者の小久保さんと楽しくお話しをしました。聞き手が上手で、私の内面とともにアフターファイブの写真も表に出てしまうことになりました。

おりもおり、不思議なことが、また舞い降りてきました。
先週末に、30年来の友人が旧家の集まる町の檀家総代になり「お寺と檀家」が集まる会の慣習を変えたいと、僧侶と相談した結果、私に「健康や、武道、呼吸法など高齢者のためになるような講話会(体験含む)」の依頼のために訪ねてきました。

セカンドライフ。
自身がやってきたことが、人に望まれ、役に立つ。
嬉しいですね!
「お寺と檀家」の関係だけでなく、地域で暮らす人が健康で楽しい町になるように、広がりの可能性を秘めた会にしていきたいと思います。

『健康経営』のDNAは、応用が利き楽しいですね!
末筆ながら、掲載記事の中に、妻とのツーショット写真があるのですが、妻が恥ずかしいとのことで、顔にボカシを入れました。

情報誌
『自適工房』Vol.12 (pdf ファイル)

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年03月01日
偉人、会うべし!

2008年11月開催の日本禁煙科学会学術総会、以来、機会があれば、日野原重明先生のご講演をうかがうことにしている。
2月22日も1年ぶりで、エネルギーと愛情に溢れるお話をうかがうことができた。
もちろん、立ったままの1時間。目がきらきらと、鋭く話しかけられる。
私は、いつも、ある言葉が出てくるのを震える気持ちで待っている。
それは、あらゆるものに勝る動機を与える「いのち」という言葉である。
この先生の「いのち」という声、イントネーション、響きに、その大切さ、尊さが伝わってくる。
以前、お話をうかがった宇沢弘文教授がおっしゃる人類の貴重な遺産である「社会的共通資本」を確実に次世代へ手渡すことの必要性、大切さを説かれる時と同じように、偉人の言葉、姿、すべてから発せられる想いが、『ずんっ』と伝わってくる。

「いのち」とは、かけがえのない時間、自分が持って使える時間である。
しっかりと次代にバトンタッチをしていくもの、心構えが自分の中にあるだろうか?
まだまだ未熟。
考え、励まされる。
偉人、会うべし!

添付写真は 日本禁煙科学会 名誉会長の先生を中央に、右は学会理事長の奈良女子大学大学院 高橋裕子教授と2008年11月第3回学術総会、聖路加ガーデンにて

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年02月24日
寒安居(かんあんご)
毎年、今頃になると思い出すことがある。
それは、寒安居(かんあんご)。
武道の合宿のようなもので、厳寒の凍える高野山で行う。
稽古というより、1泊2日のまさに行である。
稽古中は、指導者の許可なく一歩も道場から外へ出ることは許されず、一日中、食事以外は、突き、蹴りの基本から逆技、組型、法器(仁釈等道具のこと)を使っての技の繰り返しを開け放った道場で行う。

夜、順番に5分の入浴が許され、その後、庫裡の隣で夕食となるのだが、全員が正座で精進料理をいただく。種川臥龍宗家のご許可をいただかないと始められず、お話が済むまで待って、やっと食事が始まる頃には、足がしびれている。お替りのときも、這うことなどとんでもない、許されることではないので、不思議な立ち姿でお坊さんに碗を渡すことになる。
全員が終わるまで、座を離れることが許されず、終われば少しの休憩をいただけるのだが、また、正座して、宗家の「心をつくる」ためのお話をうかがう。
若い頃は、あまり意味がわからないが、今から思えば、ありがたい、深い話の数々であっ
た。「安倍よ、お前、雨が降ったらどうするんじゃ」と。足の痙攣に耐え、しばらく考えて
も答えが出ない。「雨が降ったら傘を差すんじゃ、うーん、わかるかい」今もその声、笑い
声が耳の奥から聞こえてくる。

夜半、やっと床に就いたかと思うと、襖が音もなくスーと開く。
瞬間、師範と高弟が竹刀をうならせ寝ている頭を打ち込んでくる。上半身を起こし身構え隙のないところを見せると紙一重で、竹刀は止まる。
一度目は難を避けることができるのだが、しばらくしての2回目は、気配は感じるものの
朝からの稽古で疲れた身体はもう反応せず、したたか頭を打たれることになる。
目を覚まし、うつろな構えで、「ありがとうございました」とお礼を言い、ばたりと死んだように眠りに落ちる。

早朝、汗のまま、衣文掛けにかけた道着が凍えて、鎧のように、あたかも人が入っているような形に固まっている。素肌で袖を通すとバリ、グシャと氷が壊れるような音がする。
氷点下の雪の積もる庭を素足に下駄でお堂に入り正座。
畳の上はうっすら白い。30分ほどの正座の後、「離座!」の掛け声とともに、畳をたたき飛立ち上がって構える。足の痺れがあるのに不思議とできる。アヒル(蛙)歩きで、道場を数度回る。凍った畳とすれた小指から血が滲む。

記せばきりがない思い出が続く。
行が終わり帰路に着くときの宗家の声が懐かしい。
「安倍よ、この2日間、お前の思うように、気ままにいかなかったのう。外では思うようにできるのにのう。」後は、ニコニコ笑っておられた。
その意味は何だったのだろうか?
何を伝えようとしていただいたのか?
その優しい慈しみにあふれたお顔と声が忘れられなく残っている。
寒安居。私を育ててくれた青春の思い出である。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年02月05日
保険者マネジメントセミナー卒業式

昨年9月から始まった国際医療福祉大学大学院での保険者マネジメントセミナーが、2月1日に全30講座が、無事修了しました。
ご講義をいただいた先生、ありがとうございました。
以下に、心をこめて、受講生の皆様へ、労をねぎらうメッセージをお送りしたいと思います。賞状授与式の後の懇親会記念撮影写真も添付します。(前列中央のオレンジ色ネクタイが開原成允大学院長、右から3人目が和田勝教授、右端が武藤正樹教授)
・・・・
ポジティブな皆様へ
半年間お付き合いいただきありがとうございました。
大変、感謝いたしております。
つたない知識での進行役で、もう一つ心足らずの方もあったのではと申し訳なく思っております。
とはいえ、それが今の自分であります。
さらに精進、がんばります。

さて、講義終了途中に、突然ご案内しました「保険者マネジメント研究会」ですが、特に何をしようとか、趣旨めいたことはございません。
当日、向かう新幹線車中で、ぼんやりとお一人お一人のお顔を思い浮かべながら、今日で終わりか~と思っていた瞬間、どこからともなく『今日でセミナーが終わったのではなく、始まりの位置についたのではないか』と、そんな声が聞こえたのです。
(変と思われるかと思いますが、私には過去こういう声が、聞こえることが幾度かありました。)
「何の始まりの位置かは、わかりません」が、とりあえずで恐縮ですが、そんな声が腑に落ちるように、もう少し皆様とお付き合いをしたいなぁ、そして、『新しい何か』が見えればこれほど嬉しいことはありませんと思ったのです。

せっかくですから「メーリングリストを作成しますので、日常業務で困ったことがあったら、投稿して意見を求める」、というのはいかがでしょうか?
いろんな背景、経験の方が集まられていますので、すばらしい回答が得られるのではと思います。
また、長くなりました。

これからも、よろしくお願いいたします。
最後に、私が責任者として、心がけてきた信条をお伝えし、できれば、皆様にもチャレンジいただければと思います。
「自分の能力が、その組織の限界になるのは、責任者として不誠実である」
文法的に変な気もしますが、意味は伝わっていますでしょうか?
では、また、お会いできる日を楽しみにしております。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治
2010年01月10日
何を読んだら良い?

時代小説が好きである。

17歳の冬、風邪で学校を休み臥せっていると、4つ上の兄が「退屈だろうからこれでも読め」と枕元に放り投げたのが、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」であった。
その青春の姿に、熱で重たい身体を寝返りしながら、ついには風邪が治っているにもかかわらず学校を休み読みきり、身体の中から何か湧き出るエネルギーを感じたのを大河ドラマの「竜馬伝」の初回を見て懐かしく思い出した。
それ以来、司馬氏の本を読み漁り、20代後半、まさに私の職業観を決めた一冊に出会ったのである。

さて年末、食事をご一緒した方は、大の推理小説好き。
彼に時代小説の面白さを伝えようと、本に出てきた場面やいろんな話を、その場にいたような、見ていたような身振り手振りで、コーヒーが冷めるのも忘れ熱くまくし立てるありさま。
もう好きな話だから止まらない。興味をもたれた様子に、先ほどの小説を間髪入れずに勧めてみた。
年明けにお会いした際に、感想を聞いてみた。私と全く違った感じ方に、少しがっかり。

しかし、これこそ私が時代小説に引き寄せられる不思議なところ。
次に何を読もうかと書店で著者、題名、解説などで探していると、いつの間にか自身が、今、気になっていること、悩んでいること、学びたいと思っているような事柄に通ずる時代小説に手がいっているのである。その時々の自分の身の処し方を時代小説は教え続けてくれたように思う。
読み手と時代小説の必然の出会い、読み手のその時の心のあり方次第で掴むものが違う。

数日後、彼から「次は、何を読んだら良い?」とメールがきた。これも20数年前に読み、今度は彼の性格、年齢、業界、立場を考え、『坂の上の雲』を次の言葉を添え薦めてみた。
「権力構造、縦割り組織の中、野戦で知恵を発揮した秋山好古の生き方。不利な状況から国を救うリーダーのあるべき姿、勝つための王道を貫く戦略家、児玉源太郎、山本権兵衛もすばらしい。」
さて、彼も私も保険者業界。

「坂の上の雲」の登場人物の誰の言葉に触発され、これから、どんな生き方をしていくのだろう。

NPO 健康経営研究会 副理事長 安倍孝治